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2010-10-17(Sun)

オルタ・サンジュリオ

オルタ・サンジュリオは、ピエモンテ州のノヴァーラ県に属したオルタ湖畔の街です。ここは北イタリアで最高の観光地であると自信を持って誰にでも推薦できます。初めてここに行ったときはサクロ・モンテ訪問を目的としたのですが、そのときにオルタ・サンジュリオの街、オルタ湖とそこに浮かぶサンジュリオ島の美しさに感動して、数ヵ月後に1泊旅行を計画して再び行ってしまいました。サクロ・モンテは世界遺産に登録されていますが、オルタ・サンジュリオの街はその中に入っていません。しかし、イタリアの「最も美しい村」に選定されています。「最も美しい村」運動はフランスが発祥の地ですが、今や、イタリア、ベルギー、日本にも広がっています。イタリアの「最も美しい村」に関しては、このオルタ・サンジュリオを手始めに、次々と訪れることになってしまいました。
05092009_01_車掌から_01 05092009_02_オルタ・ミシノ駅前_05 05092009_04_ホテル_02

オルタ・サンジュリオはオルタ湖畔の中心の街ですが、人口1100人ほどで街というよりは村と呼ぶべきでしょう。観光資源としては、オルタ湖、そこに浮かぶサンジュリオ島、サクロ・モンテ及びオルタ・サンジュリオの可愛い街並と言葉では簡単に言えるのですが、オルタ・サンジュリオの本当の良さは言葉で簡単に説明できるものではありません。ぜひ、一度訪ねてください。実際に、何を紹介すれば良いのか迷ってしまうのですが、まずここに来て一番感動したのは、サクロ・モンテの1番礼拝堂の前にある見晴台からオルタ湖に浮かぶサンジュリオ島を見たときです。その景色は今でも脳裏に残っています。これほど美しい景色は、少なくともイタリアに来てからは見ていません。余りの美しさにその場を離れることが出来ないくらいでした。この景色を見るだけでここに来た価値があります。
05092009_07_サクロモンテからサンジュリオ島_01 05092009_09_洗礼塔_04 05092009_15_オルタ・サンジュリオの街_01

オルタ・サンジュリオの紹介が1番礼拝堂から入ってしまいましたので、続けてサクロ・モンテを紹介します。ここのサクロ・モンテは、イタリアの第2守護聖人である聖フランチェスコの生涯を描いたものです。従って、キリストや聖母マリアの物語を描いている他のサクロ・モンテとは趣が違っています。20の礼拝堂とその中のテラコッタ、フレスコ画の保存状態は良好で、小さな木陰の多い公園の中に配置されています。オルタ・サンジュリオの街から歩いて15分くらいの標高400メートルの丘の上にあります。
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サクロ・モンテの丘から街に向かう小道からもオルタ湖に浮かぶ本当に美しいサンジュリオ島が良く見えます。この丘の湖側の斜面には綺麗なヴィラがいくつも建っていますが、本当のうらやましい限りです。サクロ・モンテからの小道は街の中心にあるマリオ・モッタ広場まで降りてきます。この広場は美しいサンジュリオ島を正面にして、ホテルとカフェや土産物屋で囲まれていて、広場の中にぽつんと建っているフレスコ画の描かれている昔の市庁舎がこの広場のアクセントになっています。この広場のカフェに座って正面のサンジュリオ島を眺めると完全に時間が止まってしまいます。
05092009_12_サクロモンテからのサンジュリオ島_01 05092009_16_オルタ・サンジュリオの中央広場_04 05092009_16_オルタ・サンジュリオの中央広場_01

サンジュリオ島へは、マリオ・モッタ広場から遊覧船が頻繁に出ています。定期便は往復2.5ユーロですが、往復4ユーロの小さなボートなら4,5人の客が集まれば直ぐにボートを出してくれます。5分で一番古いサン・ジュリオ教会横の波止場に到着です。サン・ジュリオ教会は4世紀後半にローマ帝国によるキリスト教への弾圧を逃れてこの島に建てられました。現存する建物は12世紀に建て直された窓の少ないロマネスク様式の趣のある教会です。しかし、一歩中に入ると豪華なバロック調の装飾が施されています。湖の真ん中に良くこんな教会を建てたものです。この島の真ん中には女子修道院があり、そこで石鹸やレースの刺繍を作っていて、島にひとつだけある店で販売していました。でも、マリオ・モッタ広場の土産物屋でも同じものを売っています。サンジュリオ島は歩いて廻っても5分もあれば十分なほどの大きさです。車のないこの島では中世の面影が漂っています。
05092009_16_オルタ・サンジュリオの中央広場_06 25102009_01_オルタ_40 25102009_01_オルタ_61
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島から戻ったら、オルタ・サンジュリオの街も歩いてください。本当にきれいで可愛い街です。たくさんのレストラン・カフェ・土産物屋があり、たくさんの観光客がいるのですが、走っている人も大声で話をしている人はいません。この村には独特の雰囲気があるのです。1泊して、朝の街を歩いたときの観光客がいない街の静けさは忘れられません。また、朝日にあたって金色に輝くサンジュリオ島の美しさは言葉では表現できません。
05092009_17_オルタ・サンジュリオの街並_04 05092009_15_オルタ・サンジュリオの街_03 25102009_01_オルタ_39

最後に、オルタ湖の水のお話です。20世紀後半、オルタ湖は付近の工場からの公害で水質汚染がひどく湖のほとんどの生物が死に絶えてしまったそうです。汚染は更に広がり下流にあるマッジョーレ湖に流れ込む恐れが出てきて深刻な問題となり、規制をするとともに水質改善を開始しました。水の浄化と酸性水の中和等、多大な努力の結果、2000年までに水質は改善され、湖に生物が戻ってきました。今でも浄化設備は常に動いていて澄んだ綺麗な水を維持しています。最悪の状態からここまで改善したのは、世界中でもここだけだと言われていて、イタリア人の誇りのひとつとなっています。こんな過去を持つオルタ湖は、環境保全の見本となり、未来永劫汚れることはないと思います。
05092009_18_オルタ・サンジュリオの湖畔_02 05092009_21_オルタ・サンジュリオの湖畔の道_02 25102009_01_オルタ_23

オルタ・サンジュリオへはイタリア国鉄のOrta Miasino駅から湖方向に歩いて20分ほどです。ちょっと距離がありますが、最後の10分以上は起伏のない湖畔のきれいな道ですから、美しい景色を眺めながら歩くとわけなく歩くことが出来ます。しかし、駅から5分くらい歩いたところにある宮殿のようなホテルのそばにインフォメーションがあり、そこから有料のミニ観光列車に乗ってもマリオ・モッタ広場まで運んでもらえます。
サクロ・モンテはこのインフォメーションとマリオ・モッタ広場の間にある高さ400メートルの丘の上にあります。インフォメーションの先にある登り口とマリオ・モッタ広場からの登り口の両方から行くことが出来ます。どちらからでも歩いて10分ほどの登りとなります。昇りは、他のサクロ・モンテよりは楽なので、比較的行き易いと感じました。

Orta Miasino駅までは、ノヴァーラ・ドモドッソーラ間を走るローカル列車で、ノヴァーラから約40分で到着します。列車は2時間に1本しかありませんので、この列車の時間をもとに計画を立ててください。但し、ノヴァーラから午前中に出る列車は、乗客が少ないためにイタリア国鉄のバスに振り替えられています。その場合でも、バスはノヴァーラの国鉄駅前から出て、Orta Miasino駅の横に停まりますので列車と同じですから列車と同じです。バスの所要時間も40分ほどで列車と変わりません。ノヴァーラ駅の電光掲示板にプラット・フォーム番号ではなくバスであることが書いてありますから、直ぐにわかります。駅前で待っていると、ドモドッソーラ行きと書いたバスが予定時刻に迎えに来ます。国鉄の切符を運転手に見せて乗ってください。そのときに、Orta Miasino駅に着いたら知らせてもらうことを忘れずにお願いしてください。
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2010-10-17(Sun)

オッスッチョ(サクロ・モンテ)

変な名前ですが、ロンバルディア州コモ県にある人口が900人ほどの小さな村です。コモ湖の西岸のコロンノとレンノの間に位置していて、コモ湖にはコマチネ島が真正面に見えます。小さな村といっても、コモ湖の湖畔の道は“女王の道”(Strada de Regina)と呼ばれていて、コモ湖のリゾート地延長上にあり、観光客を運ぶ交通量の多いところです。そんな湖畔から山の方向500メートル入ったソッコルソの丘にヴァレーゼと同じ配置で造られた“ロザリオの祈り”のサクロ・モンテがあります。
29082009_03_オッスッチョの道_01 29082009_06_礼拝堂9_01 29082009_05_礼拝堂1_02
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他のサクロ・モンテがそうであるように、この地も1500年に聖母マリアの教会が建てられてから聖域とされていて、そこに17から18世紀にかけてヴァレーゼを模してサクロ・モンテが造営されたのです。このサクロ・モンテには湖の畔からずっと登りです。一番低いところにある1番礼拝堂から最後の14番礼拝堂を過ぎて聖母マリアを拝した聖域教会は標高419メートルです。但し、ここからも更にのぼりの山道が続いています。山道は更に険しくなり狭くなっていきます。この道は標高800メートルにある15世紀に建てられたサン・ベネディット修道院まで行っているそうです。
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とても標高800メートルまでは行けませんので、教会の少し先まで行き、コモ湖とそこに浮かぶコマチネ島、コモ湖の周りの山々の雄大な景色を眺めてソッコルソの丘を降りました。この先にあるサン・ベネディット修道院は余りにも辺境にあるため放棄されて廃墟になっていたそうです。最近になって歴史的な価値が評価されて復元作業に入ったそうですが、その作業も大変なので滞りがちだという話です。
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湖畔には“女王の道”を含むコロンノ・レンノ間10キロ強に及ぶ“グリーンウェイ”と呼ばれる散歩道があります。この道沿いには古い教会、ローマ遺跡、昔のままの小さな路地があります。道路わきには“グリーンウェイ”の標識があり観光客にもわかりやすくなっています。オッスッチョ村湖畔にもサンタ・マリア・マッダレーナ教会があります。この教会は1169年の記録にその名を見ることが出来る古い教会で、石造りのロマネスク様式の風情ある教会です。教会脇の湖畔の道から湖に出る細い石畳の路地は、教会の壁と同じような石塀に囲まれた昔ながらの路地裏です。
29082009_12_SMマッダレーナ教会_02 29082009_12_SMマッダレーナ教会_03 29082009_13_帰り道の景色_03

湖に出ると目の前にコマチネ島と島にある古い教会まで見ることが出来ます。その向こうに見える対岸の街と山々、その上の青空がくっきりと澄んだ湖に写っています。湖の岸辺には、それとは別世界のように、日光浴と水遊びをしているたくさんの観光客が残り少なくなった夏の日差しを楽しんでいました。
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こうしてここに来てみると、コモ湖にサクロ・モンテだけを見に来るのは間違っているような気がします。コモ湖のヴィラで家族とゆっくりしながら水辺のレジャーを楽しみ、湖畔や山を散策し、そのついでにコモ湖畔の貴族や有名人のヴィラやサクロ・モンテを訪ねるのが王道なのです。

オッスッチョにはLe Nord線のコモ・ラーゴ駅出口の右側にあるバス・ステーションからバスに乗ります。バスは湖に沿って走るManaggio-Colico行き(ASFバス、Linea C10)で土曜日でも1時間間隔にあります。コモ湖周辺はミラノのリゾート地ですから、日曜祝日でも、本数は少なく1~2時間間隔となりますがバスはちゃんとあります。チケットはバス・ステーションの切符売り場で買います。片道2.5ユーロですが必ず往復分を買ってください。バスは車内放送もなく淡々と走っていくだけです。コモの街を抜けると湖畔の道を右回りで走りますので、コモ湖を眺めながらいくつかの観光地を通ると、素晴らしい景色に目を奪われて、直ぐに、どこを走っているのかがわからなくなります。従って、運転手さんに降りるところを告げて、そこに着いたら必ず教えてもらうように頼んでください。降りる停留所はオッスッチョ・スプラーノです。コロンノの街を過ぎるとコモ湖にコマチネ島が見えてきますので、そこから7,8分です。もし、通り過ぎてしまい次の停留所イソーラ・コマチネに来てしまっても大丈夫ですから、あわてる必要はありません。
停留所を降りると、道の反対側に誰かの家の入口のように階段がついた細い歩行者専用の路地があり、Via Santurioと表示があります。その路地がサクロ・モンテに通じる道です。そこからサクロ・モンテまではずっと登り道です。サン・アガタ教会の鐘楼が見えたらそこがサクロ・モンテの入口になります。但し、入口にある礼拝堂は4番ですので、1から3番の礼拝堂へは4番の脇の道を下って降りる必要があります。4番から14番及び聖域教会へはこの入口にある道を昇っていくだけです。ここからはずっと厳しい昇り坂ですから足腰が悲鳴をあげるかもしれません。コモの街への戻りも、降りたところの近く(道路の反対側です)にあるコモ方面に行きの停留所から乗ってください。
コモへは、バス乗り場に近いコモ・ラーゴ駅で降りたほうが良いので、Le Nord線を利用したほうが良いと思います。多分、バスは、イタリア国鉄の駅のそばの停留所にも停まると思いますが、停留所がどこなのか調べていません。
2010-10-17(Sun)

ドモドッソーラ(サクロ・モンテ)

ピエモンテ州の北の端、ヴェルバーノ・クシーノ・オッソーラ県のスイス国境の街がドモドッソーラです。ここからスイスのロカルノまで1時間40分の山岳列車が走っているので、観光客の通過点となっている街でもあります。この国境の街の街外れの丘に、キリストが磔にされたカルヴァリオの丘と同じものを造る目的でサクロ・モンテが造営されました。従って、ここのサクロ・モンテはSacro Monte Calvarioと呼ばれています。キリスト受難は、残酷な描写が多くあまり好みではないのですが、アルプスの麓のこの街の景観に誘われて来てしまいました。
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ドモドッソーラ駅から小さな街を抜けると直ぐにカルヴァリオの丘の麓に出ます。そこはまだ街中なのですが、そこに一番礼拝堂と2番礼拝堂があるのです。丘の登り口にあたる3番礼拝堂では、キリストが十字架を背負っています。要するに、キリストはここから十字架を背負ってカルヴァリオの丘を登り始めるのです。巡礼者もキリストと一緒にここから丘に昇ることで受難を実感できるような礼拝堂の配置になっているのです。特に6番礼拝堂と7番礼拝堂の間は、かなりきつい登り道でしかも距離も長いので、巡礼者は、キリストの受難を感じながらこのきつい登り道を歩き、ほんの少しの苦しみを体に刻み込むのかもしれません。
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このカルヴァリオの丘の高台にある広場は聖域となっています。この聖域内には8番からカルヴァリオの丘で磔にされている12番(13番は12番礼拝堂の中にあります)までの礼拝堂があります。
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14番の「キリストの墓」と15番の「復活」の礼拝堂がその先にある丘の頂上にあり、そこには6世紀に建てられた古い城もあります。やはり、アルプスの麓にあるこのサクロ・モンテは、頂上からはとても素晴らしい眺めが望めます。
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今回、初めて1番礼拝堂から15番までを順番に巡ってきました。3番からはずっと登り道ですが、キリストの受難とは比べようもないほど何とかなる登り道です。それでも登り道のいやな人には、ドモドッソーラ駅から丘の頂上までのバスがあります。しかし、出発時刻が列車の到着時間に合っていない上、本数も限られています(1日に4本ほど)ので余りお勧めではありません。ドモドッソーラ駅から1番礼拝堂までは歩いても10分ほどです。街中を抜けていくのですが、途中に“Sacro Monte Calvario”と表示した黄色の標識がありますので、それに従っていけば、住人に道を尋ねることもなく行くことが出来ます。復路も、昇ってきた道を降って、街中を通って駅に戻りました。アルプスの麓の街は、晴れていれば、周りを山々で囲まれた景色は素晴らしく、とても気持ちがよく散策できます。
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ミラノからドモドッソーラへは、ミラノ中央駅からの普通列車とユーロシティ、及びポルタ・ガリバルディからの普通列車があります。午前中は9時から11時過ぎまで列車がないのですが、その他の時間帯は1時間に1,2本の列車があります。所要時間は、ミラノ中央駅からの普通列車が1時間半、ユーロシティなら1時間18分です。ポルタ・ガリバルディからの普通列車は2時間強かかります。料金は、普通列車が7.95ユーロでユーロシティが17.5ユーロです。ミラノへの戻りは午後1時台と5時台を除き、1時間に1~2本の普通列車(ミラノ中央駅行きとポルタ・ガリバルディ行き)とユーロスターがあります。この列車はマッジョーレ湖の西岸を通りますので、車窓からはストレーザ駅を過ぎるとボッロメーオ諸島を望めます。もちろん、マッジョーレ湖を過ぎるとアルプスの山々がとても綺麗です。

また、ドモドッソーラからノヴァーラに行く普通列車も2時間に1本ありますので、ノヴァーラ経由でミラノに戻ることも出来ます。このローカル線はオルタ湖の東岸を走りますので、オルタ湖がとても綺麗です。また、車窓からのアルプスの山々がとても素晴らしい列車です。行きはミラノ中央駅からマッジョーレ湖経由で、帰りはオルタ湖からノヴァーラ経由でミラノに戻るような計画も良いかもしれません。
2010-10-16(Sat)

オローパ(サクロ・モンテ)

3ヶ所目のサクロ・モンテとして、ピエモンテ州ビエッラ県にあるオローパを選びました。標高1180メートルの山の上にあるこの聖地は、サクロ・モンテの中で一番行きたかったところです。遠い昔(記録では13世紀)からの巡礼地であるオローパはサクロ・モンテよりも黒いマドンナ(黒いマリア像)が有名なのです。この黒いマドンナには4世紀に遡る古い言い伝えがあります。現在でもこの黒いマドンナに対する信仰は強く巡礼者が絶えることはないそうです。従って、ここには常時200人以上が滞在できる宿泊設備があります。

ビエッラの駅からバスに乗って標高1180メートルの地点で降りると、目の前に広がる巨大な聖域のコンプレックスにびっくりしました。何で、こんな山の頂上にこんな巨大な設備を造ったのだろうと感じるのは、私だけではないと思います。周りの高い山々を背景にした長方形に取り囲まれた敷地内には新旧2つの聖堂と付属設備及び巡礼者のための宿泊設備が建てられています。ちょうど、バスを降りたところからの眺めは絵葉書の写真のようで、それもヴェルサイユ宮殿か京都御所を見ているようです。1年中、巡礼者と観光客が訪れるこの聖域は、その全員を迎い入れる準備が出来ています。入口付近には巨大な駐車場とカフェやレストラン、土産物屋に宗教関係のお店が揃っています。
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土産物屋を覗きながら聖域内に足を踏み入れました。やはり、黒いマドンナを拝している旧聖堂からです。旧聖堂は13世紀のバシリカを16世紀の終わりに建て直したものです。この神聖なる聖堂内に足を踏み入れるとたくさんの巡礼者が黒いマドンナに深い祈りを捧げています。でも、その横でたくさんの観光客が黒いマドンナの写真を撮っているのです。同じイタリア人なのに対照的なこの光景はなんとも奇妙です。そんな人達を掻き分けながら近くまで行き、黒いマドンナの顔を見ると、一瞬時間が止まったような気がしました。そのお顔は、まさしく観音様のお顔なのです。後で調べたところ、美しい顔で有名な広隆寺の弥勒菩薩“半跏思惟像”にそっくりだったのです。宗教とは不思議なものです。地球の反対側にあっても、宗教の違いがあっても、人間の信じる神のお顔には共通するものがあるのです。キリスト教徒ではない私もつい十字を切ってしまいました。
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旧聖堂はこの巨大なコンプレックスの中ほどにありますが、コンプレックスの一番奥に1885年に建てられた新聖堂があります。この中の地下礼拝堂にも黒いマリア像が安置されていて、ここでもたくさんの巡礼者が祈りを捧げていました。
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新聖堂の先にはロープウェイの駅があり、ここからカミーノ山の標高1900メートルの地点まで行くことが出来ます。更に、その先には2400メートルまでのロープウェイもあるそうです。冬にはスキー客で賑わうところです。また、ここには自然を感じながら美しい山間を歩くトレッキングコースもあります。このビエッラ周辺には、ここと同じような巡礼地がいくつかあり、その巡礼地を巡る5キロ、10キロコースがあるようです。一番短いコースは20分で谷を挟んだ並行した山道を歩くコースです。この自然豊かな山道を歩きながら谷の先に見えるオローパの聖域を眺めるととても素晴らしいのです。
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これではサクロ・モンテを忘れてしまいそうです。この長方形の巨大なコンプレックスの直ぐ隣にある起伏の多い山中に聖母マリアの物語に沿って造営されたサクロ・モンテがあります。忘れてしまいそうな理由は、黒いマドンナの巡礼者はたくさんいるのですが、世界遺産であるサクロ・モンテの巡礼者がほとんどいなかったことにもあります。黒いマドンナは、いつの頃からかマリア像(“マグダラのマリア”との説もある)であると言われていますが、本来は女神を拝した土着信仰に起源があると言われています。この土着信仰とマリア様の合体は今でも根強くこの地に残っていて、いくら世界遺産でも勝てないのです。そのような環境にあるせいか、巡礼者のまばらな礼拝堂の中のテラコッタとフレスコ画は、残念ながら余り保存状態が良いとは言えませんでした。
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今回のサクロ・モンテ訪問は、黒いマドンナの存在感に圧倒されて、影が薄くなってしまいました。それでも、黒いマドンナは、こんな山奥まで見に来た価値が十分にありましたので、今回のオローパ訪問には十分満足しています。標高1180メートルの聖地オローパは、ビエッラ駅から13キロの地点にあります。駅前から聖地オローパ行き(聖域の先にあるロープウェイの駅が終点です)のバス(ATAPバス、Linea Urbana 2)が出ています。所要時間は40分で料金は片道0.9ユーロだったと思います。バスのチケットはビエッラ駅内にあるバールで往復を買ってください。バスは、平日は1時間に1本、日曜日祝日でも2時間に1本あります。時刻表はウェブでも調べられますが、停留所でも必ず帰りの時刻表を確認してください。オローパの聖域には停留所が3つあり、歩ける距離にありますので、行きも帰りも、どの停留所でも利用できます。

ビエッラ(駅名はBiella San Paoloです)まではノヴァーラから2両編成の綺麗な列車があります。始発と終点ですので気楽に乗ってください。所要時間は40分です。朝の10,11時台は列車がないのですが、そのほかの時間帯は、往復とも1時間に1本あります。この列車の時間を調べて、ミラノとノヴァーラ間の列車を決めてください。
2010-10-16(Sat)

ヴァラッロ・セージア(サクロ・モンテ)

ピエモンテ州ヴェルチェッリ県のヴァラッロは1490年頃に造営された最初のサクロ・モンテです。ここのサクロ・モンテはキリストの物語を45の小さな礼拝堂にまとめています。但し、何故か旧約聖書のアダムとイヴから始まります。次に受胎告知、キリスト生誕から受難、十字架、復活までとなっています。各礼拝堂の配置はナザレとベツレヘムを模してあり、最後はエルサレムの丘の聖母マリアの被昇天のバシリカで巡礼が終わります。小さなエリアに45の礼拝堂とバシリカが配置されていますので、ヴァレーゼと違ってそれほど歩く距離は長くありません。ゴルフ場に例えれば、ヴァレーゼがロングホールばかりの14ホールで、ヴァロッロはショートコースばかりの45ホールとなります。
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アダムとイヴが何故最初にあるのか不思議だったので調べてみますと、どうも、キリストは原罪を免れた神であることを強調するためだったようです。要するに、宗教改革に対抗するために三位一体を強調する必要性からここにアダムとイヴを入れたとのこと。カトリックではない人が理解するのは難しいですね。「最後の晩餐」は、女性にしか見えない聖ヨハネが真ん中のキリストに寄り添っています。ダ・ヴィンチ・コードを思い出してしまいました。「最後の晩餐」の後にキリストの受難が延々と続きますが、残酷な描写はどうも好きにはなれません。個々の礼拝堂は、ヴァレーゼと違ってそれほど厳格な管理はしていないようで、窓には金網が貼ってあるのですが、写真撮影用?に一部が剥がれています。礼拝堂内も比較的に明るくテラコッタとフレスコ画も良く見えます。
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礼拝堂には番号が振ってありますので、その順番どおりに見ていくと、物語に沿ったかたちで全部を見ることが出来ます。また、どこのサクロ・モンテも同じですが、山の上(603メートルのトレ・クローチ山の頂上)に位置しているので周りの景色がとても素晴らしく、宗教心のない人でも、この景観を見るだけでここに来た価値はあると思います。
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ヴァラッロ・セージア駅からサクロ・モンテに行くには、人口7500人のヴァラッロ・セージアの小さな街を通ります。この小さな街は山々に囲まれたセージア川の渓谷にあり、セージア川沿いの景色は、まるで日本の温泉宿のようです。サクロ・モンテに向かう道からちょっと反れますが、澄んだ急流のセージア川沿いの道を歩くと、長く日本に戻っていない人は懐かしさを感じるかもしれません。しかし、街の中心部の広場に行くと、そこはやはりイタリアです。広場の大きな岩の上には、小さな街に似つかわしくない、まるでお城のような大きな教会があります。コッレジアータ・サン・ジャウデンツィオ教会という舌をかみそうな名前がついていました。
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街のはずれには、如何にも目立たない古い修道院教会があります。古い修道院の回廊の横に建つ今にも崩れそうな古い教会はサンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会です。アルプス周辺の古いロマネスク様式の教会に良く見られる、壁は岩を積み上げただけでファサードはなく屋根も木造の教会です。しかし、この小さな崩れそうな教会に一歩足を踏み入れると声も出せなくなる雰囲気に包まれてしまいます。実は、今回の旅では、サクロ・モンテよりもこの教会に入ったときの感動のほうが数倍も大きかったのです。教会の正面の壁にはキリストの受難の物語がフレスコ画で表されています。その壁の向こうにある祭壇には神聖な緊張感が漂っています。教会の中にいる数人の尼僧が小さな声のイタリア語で、この教会の由来を説明してくれたのですが残念ながら理解できませんでした。しかし、教会内はまさに聖域のような雰囲気で、何も喋らずただ感動していました。
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この古い修道院教会のちょっと先にサクロ・モンテの山の頂上に向かうロープウェイがあります。ロープウェイは人数がある程度集まるまで動きません。実は、サンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会を見に行ったのは、ロープウェイ受付の親切な女性の「人数がそろうまであの教会を見てきたら、すごくいいよ」というアドバイスだったのです。ですから、非常に得をした気分でした。このロープウェイ乗り場は印フォーメーションも兼ねていて、サクロ・モンテのガイドや地図だけでなくヴァラッロ周辺のガイドまですべてそろっていますので、ここで資料を入手してください。ロープウェイの料金は往復で3ユーロです。ロープウェイからの景観も捨てがたいものがありました。
ヴァラッロ・セージアへはノヴァーラから1両編成のローカル鉄道(イタリア国鉄です)で行きます。ノヴァーラ発で終点がヴァラッロ・セージアですから寝ていても大丈夫です。でも、車窓から見える山々の景色も見逃せませんので寝ていてはつまりません。所要時間は1時間強です。但し、この路線は早朝(朝の7時半まで)の3本を除くと朝9時6分を初めとして1日に5本しかないので、列車の発車時刻にあわせてノヴァーラに着くように計画してください。ミラノとノヴァーラ間は本数が多いので如何ようにでもなります。料金はミラノからヴァラッロ・セージアまでノヴァーラ乗換で6.95ユーロです。
ヴァラッロ・セージアからノヴァーラへの戻りも本数が少ないので注意が必要です。特に、午後は4本しかなく、午後1時58分から夕方の5時22分までは列車がありません。
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Author:matsuohj (パパロンチーノ)
2008年10月20日から2010年8月23日までの1年10カ月ミラノに滞在。その期間、北イタリアを中心に115ヶ所の街を訪ねました。それも、ほとんどが公共交通機関を利用したものです。この経験で得た情報を一人でも多くのイタリア好きの人に伝えるためのブログです。

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