fc2ブログ
2010-10-16(Sat)

オローパ(サクロ・モンテ)

3ヶ所目のサクロ・モンテとして、ピエモンテ州ビエッラ県にあるオローパを選びました。標高1180メートルの山の上にあるこの聖地は、サクロ・モンテの中で一番行きたかったところです。遠い昔(記録では13世紀)からの巡礼地であるオローパはサクロ・モンテよりも黒いマドンナ(黒いマリア像)が有名なのです。この黒いマドンナには4世紀に遡る古い言い伝えがあります。現在でもこの黒いマドンナに対する信仰は強く巡礼者が絶えることはないそうです。従って、ここには常時200人以上が滞在できる宿泊設備があります。

ビエッラの駅からバスに乗って標高1180メートルの地点で降りると、目の前に広がる巨大な聖域のコンプレックスにびっくりしました。何で、こんな山の頂上にこんな巨大な設備を造ったのだろうと感じるのは、私だけではないと思います。周りの高い山々を背景にした長方形に取り囲まれた敷地内には新旧2つの聖堂と付属設備及び巡礼者のための宿泊設備が建てられています。ちょうど、バスを降りたところからの眺めは絵葉書の写真のようで、それもヴェルサイユ宮殿か京都御所を見ているようです。1年中、巡礼者と観光客が訪れるこの聖域は、その全員を迎い入れる準備が出来ています。入口付近には巨大な駐車場とカフェやレストラン、土産物屋に宗教関係のお店が揃っています。
22082009_03_Santuario_03.jpg 22082009_03_Santuario_04.jpg 22082009_03_Santuario_09.jpg

土産物屋を覗きながら聖域内に足を踏み入れました。やはり、黒いマドンナを拝している旧聖堂からです。旧聖堂は13世紀のバシリカを16世紀の終わりに建て直したものです。この神聖なる聖堂内に足を踏み入れるとたくさんの巡礼者が黒いマドンナに深い祈りを捧げています。でも、その横でたくさんの観光客が黒いマドンナの写真を撮っているのです。同じイタリア人なのに対照的なこの光景はなんとも奇妙です。そんな人達を掻き分けながら近くまで行き、黒いマドンナの顔を見ると、一瞬時間が止まったような気がしました。そのお顔は、まさしく観音様のお顔なのです。後で調べたところ、美しい顔で有名な広隆寺の弥勒菩薩“半跏思惟像”にそっくりだったのです。宗教とは不思議なものです。地球の反対側にあっても、宗教の違いがあっても、人間の信じる神のお顔には共通するものがあるのです。キリスト教徒ではない私もつい十字を切ってしまいました。
22082009_04_旧バシリカ_10 22082009_04_旧バシリカ_02黒いマドンナ 22082009_04_旧バシリカ_05黒いマドンナ

旧聖堂はこの巨大なコンプレックスの中ほどにありますが、コンプレックスの一番奥に1885年に建てられた新聖堂があります。この中の地下礼拝堂にも黒いマリア像が安置されていて、ここでもたくさんの巡礼者が祈りを捧げていました。
22082009_05_新バシリカ_09 22082009_05_新バシリカ_04 22082009_05_新バシリカ_07

新聖堂の先にはロープウェイの駅があり、ここからカミーノ山の標高1900メートルの地点まで行くことが出来ます。更に、その先には2400メートルまでのロープウェイもあるそうです。冬にはスキー客で賑わうところです。また、ここには自然を感じながら美しい山間を歩くトレッキングコースもあります。このビエッラ周辺には、ここと同じような巡礼地がいくつかあり、その巡礼地を巡る5キロ、10キロコースがあるようです。一番短いコースは20分で谷を挟んだ並行した山道を歩くコースです。この自然豊かな山道を歩きながら谷の先に見えるオローパの聖域を眺めるととても素晴らしいのです。
22082009_09_トレッキングコース2_02 22082009_09_トレッキングコース2_04 22082009_09_トレッキングコース2_07

これではサクロ・モンテを忘れてしまいそうです。この長方形の巨大なコンプレックスの直ぐ隣にある起伏の多い山中に聖母マリアの物語に沿って造営されたサクロ・モンテがあります。忘れてしまいそうな理由は、黒いマドンナの巡礼者はたくさんいるのですが、世界遺産であるサクロ・モンテの巡礼者がほとんどいなかったことにもあります。黒いマドンナは、いつの頃からかマリア像(“マグダラのマリア”との説もある)であると言われていますが、本来は女神を拝した土着信仰に起源があると言われています。この土着信仰とマリア様の合体は今でも根強くこの地に残っていて、いくら世界遺産でも勝てないのです。そのような環境にあるせいか、巡礼者のまばらな礼拝堂の中のテラコッタとフレスコ画は、残念ながら余り保存状態が良いとは言えませんでした。
22082009_22_礼拝堂3_01 22082009_22_礼拝堂3_02 22082009_12_礼拝堂13_02

今回のサクロ・モンテ訪問は、黒いマドンナの存在感に圧倒されて、影が薄くなってしまいました。それでも、黒いマドンナは、こんな山奥まで見に来た価値が十分にありましたので、今回のオローパ訪問には十分満足しています。標高1180メートルの聖地オローパは、ビエッラ駅から13キロの地点にあります。駅前から聖地オローパ行き(聖域の先にあるロープウェイの駅が終点です)のバス(ATAPバス、Linea Urbana 2)が出ています。所要時間は40分で料金は片道0.9ユーロだったと思います。バスのチケットはビエッラ駅内にあるバールで往復を買ってください。バスは、平日は1時間に1本、日曜日祝日でも2時間に1本あります。時刻表はウェブでも調べられますが、停留所でも必ず帰りの時刻表を確認してください。オローパの聖域には停留所が3つあり、歩ける距離にありますので、行きも帰りも、どの停留所でも利用できます。

ビエッラ(駅名はBiella San Paoloです)まではノヴァーラから2両編成の綺麗な列車があります。始発と終点ですので気楽に乗ってください。所要時間は40分です。朝の10,11時台は列車がないのですが、そのほかの時間帯は、往復とも1時間に1本あります。この列車の時間を調べて、ミラノとノヴァーラ間の列車を決めてください。
スポンサーサイト



2010-10-16(Sat)

ジェノヴァ

ミラノからジェノヴァまでは遠くはありません。ミラノのロゴレド駅から普通列車に乗って1時間40分で着いてしまいます。しかし、暗い印象のあるアルプスの麓の大都会ミラノから日差しが強く明るい地中海沿岸の大都会ジェノヴァに行く事を考えると、ミラノ人でなくともうきうきとした旅行気分になってしまいます。実際に、霧の多い冬場のミラノからジェノヴァに行くと、いつも期待通りに明るい太陽が迎えてくれます。列車は、ミラノからロンバルディア平野を過ぎるとアペニン山脈に入り、いくつものトンネルを抜けると、予告もなく突然太陽の輝くジェノヴァの街に入ってしまいます。この列車には何度も乗りましたが、変化のある車窓は一度も遠いと感じさせてくれませんでした。
16082009_01_ジェノヴァ駅_04コロンブス銅像 16082009_10_フェッラーリ広場_09 16082009_05_赤の宮殿テラスから_05

中世において、ヴェネツィア、ピサ、アマルフィーと並ぶ4大海洋都市国家であったジェノヴァは、一時、黒海までを制するほどの海軍を持っていたのです。その海洋都市国家もヴェネツィアとの長い戦いで14,5世紀には衰退してしまったのですが、16,7世紀のスペイン帝国支配の下、スペインの海外進出に投資をしたジェノヴァの有力貴族がその財力で数々の宮殿を築いたのです。それらの宮殿が2006年に世界遺産に登録されたジェノヴァの宮殿群です。ジェノヴァの観光は、これらの宮殿群から始めました。最も有名なガリバルディ通りにある赤、白の宮殿とトゥルシ宮殿は8ユーロのパックになっていて、赤の宮殿の前の書店で入場券を購入します。最初に入る赤の宮殿は、宮殿建築だけでなく、絵画、フレスコ画、彫刻、調度品等、見所がいっぱいです。宮殿の一番高いところまで上がれて、そこから見えるジェノヴァの街と港がとても印象的でした。続けて、白の宮殿、トゥルシ宮殿を見て廻ると、ちょっと宮殿見学はお休みしたくなってしまいます。
16082009_04_ジェノヴァ街並_05 16082009_05_赤の宮殿テラスから_06 16082009_06_白の宮殿から赤の宮殿_08
16082009_07_トゥルシ宮_01 16082009_06_白の宮殿_09 16082009_08_ガリバルディ通り_02

ジェノヴァで一番のお勧めは、旧市街を歩くことです。12,3世紀にはヴェネツィアをしのぐ海洋国家であったジェノヴァの旧市街はヨーロッパで一番大きいと言われています。イタリアのどこの港でも、その旧市街は綺麗であるはずがありません。ジェノヴァもその例に漏れず、余り綺麗とはいえません。それでも、ナポリやパレルモの比べるとぜんぜん綺麗なのです。石畳の道、市場、カフェ、あっちこっちにある大きな古い建物と街角の聖母マリアの彫刻には歴史と文化が詰まっています。ステンドグラスが綺麗なサン・ロレンツォ聖堂は必見です。もちろん、ジェノヴァでは食べ物も忘れないでください。ジェノヴェーゼソースのトロフィエはジェノヴァで食べないと美味しくありません。
16082009_11_ジェノヴァ街並_03 16082009_15_ジェノヴァ街並_01 16082009_14_サンロレンツォ教会_02
16082009_14_サンロレンツォ教会_04 16082009_14_サンロレンツォ教会_12 16082009_14_サンロレンツォ教会_09

旧市街の街並とジェノヴァの食べ物をたっぷりと味わったら、港のほうに行ってみましょう。港は綺麗に整備されていて、まるで、横浜の港のようです。大きな豪華客船に豪華なヨット、それに中世の船まであります。ポルト・アンティーコ(古い港)の広場は、ジェノヴァの住人の憩いの場になっています。眩しいくらいに明るい太陽の日差しの中で食べるジェラートは最高です。
16082009_17_ポルト・アンティーコ_07 16082009_17_ポルト・アンティーコ_11 16082009_18_ジェノヴァ街並_01

さあ、もう一度街に戻りましょう。ジェノヴァには新しく地下鉄が開通しました。ポルト・アンティーコから地下鉄に乗ってジェノヴァ・プリンチペ駅に戻り、駅から5分ほどジェノヴァの中心部に向かったところに王宮があります。入場料は4ユーロですが、ここは必見です。建物、絵画、タペストリー、調度品の数々は、赤、白の宮殿を見た後でも十分に満足させてもらえます。また、宮殿のバルコニーから見える港の景色も最高です。
16082009_19_王宮_00 16082009_19_王宮_01 16082009_19_王宮_05

ジェノヴァの街には、他にも観光スポットがいっぱいあります。ケーブルカーで丘の上に上がって街と港を見下ろすことも出来ます。コロンブスの家、オペラ劇場、その他の宮殿等々、街を歩けば見所にあたります。また、ジェノヴァ近郊のリヴィエラ海岸沿いにはリゾート地もいっぱいあります。ジェノヴァの街には良いホテルもいっぱいありますので、ジェノヴァに1,2泊して、ゆっくりするのも良いと思います。
16082009_20_ジェノヴァ街並_07 16082009_16_サンジョルジョ宮殿_03 16082009_20_ジェノヴァ街並_04

ミラノ中央駅又はロゴレド駅からジェノヴァまではイタリア国鉄が1時間に1,2本の普通列車とインターシティ(IC)が出ています。ICはロゴレド駅に停まらない場合がありますから注意してください。普通列車だとロゴレド駅からの所要時間が1時間40分で料金が9.1ユーロです。ICですと、所要時間が1時間30分で料金が16.5ユーロとなります。ミラノへの戻りも1時間に1,2本普通列車とICが夜の9時半過ぎまでありますので、それほど心配することはありません。但し、夏休み期間は非常に混んでいますので、ICを使う場合は事前に予約しておいたほうが良いと思います。普通列車でも座れないことがあります。
2010-10-16(Sat)

ヴァラッロ・セージア(サクロ・モンテ)

ピエモンテ州ヴェルチェッリ県のヴァラッロは1490年頃に造営された最初のサクロ・モンテです。ここのサクロ・モンテはキリストの物語を45の小さな礼拝堂にまとめています。但し、何故か旧約聖書のアダムとイヴから始まります。次に受胎告知、キリスト生誕から受難、十字架、復活までとなっています。各礼拝堂の配置はナザレとベツレヘムを模してあり、最後はエルサレムの丘の聖母マリアの被昇天のバシリカで巡礼が終わります。小さなエリアに45の礼拝堂とバシリカが配置されていますので、ヴァレーゼと違ってそれほど歩く距離は長くありません。ゴルフ場に例えれば、ヴァレーゼがロングホールばかりの14ホールで、ヴァロッロはショートコースばかりの45ホールとなります。
08082009_08_サクロモンテ_02 08082009_08_サクロモンテ_03 08082009_09_チャペル12_01

アダムとイヴが何故最初にあるのか不思議だったので調べてみますと、どうも、キリストは原罪を免れた神であることを強調するためだったようです。要するに、宗教改革に対抗するために三位一体を強調する必要性からここにアダムとイヴを入れたとのこと。カトリックではない人が理解するのは難しいですね。「最後の晩餐」は、女性にしか見えない聖ヨハネが真ん中のキリストに寄り添っています。ダ・ヴィンチ・コードを思い出してしまいました。「最後の晩餐」の後にキリストの受難が延々と続きますが、残酷な描写はどうも好きにはなれません。個々の礼拝堂は、ヴァレーゼと違ってそれほど厳格な管理はしていないようで、窓には金網が貼ってあるのですが、写真撮影用?に一部が剥がれています。礼拝堂内も比較的に明るくテラコッタとフレスコ画も良く見えます。
08082009_09_チャペル01_02 08082009_09_チャペル20_02 08082009_09_チャペル36_03

礼拝堂には番号が振ってありますので、その順番どおりに見ていくと、物語に沿ったかたちで全部を見ることが出来ます。また、どこのサクロ・モンテも同じですが、山の上(603メートルのトレ・クローチ山の頂上)に位置しているので周りの景色がとても素晴らしく、宗教心のない人でも、この景観を見るだけでここに来た価値はあると思います。
08082009_09_チャペル36_01 08082009_10_サクロモンテ_04 08082009_10_サクロモンテ_12

ヴァラッロ・セージア駅からサクロ・モンテに行くには、人口7500人のヴァラッロ・セージアの小さな街を通ります。この小さな街は山々に囲まれたセージア川の渓谷にあり、セージア川沿いの景色は、まるで日本の温泉宿のようです。サクロ・モンテに向かう道からちょっと反れますが、澄んだ急流のセージア川沿いの道を歩くと、長く日本に戻っていない人は懐かしさを感じるかもしれません。しかし、街の中心部の広場に行くと、そこはやはりイタリアです。広場の大きな岩の上には、小さな街に似つかわしくない、まるでお城のような大きな教会があります。コッレジアータ・サン・ジャウデンツィオ教会という舌をかみそうな名前がついていました。
08082009_12_ヴァラッロ街並_02 08082009_06_ヴァラッロ街並_03 08082009_05_コッレジアータ・サンジャウデンツィオ_02

街のはずれには、如何にも目立たない古い修道院教会があります。古い修道院の回廊の横に建つ今にも崩れそうな古い教会はサンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会です。アルプス周辺の古いロマネスク様式の教会に良く見られる、壁は岩を積み上げただけでファサードはなく屋根も木造の教会です。しかし、この小さな崩れそうな教会に一歩足を踏み入れると声も出せなくなる雰囲気に包まれてしまいます。実は、今回の旅では、サクロ・モンテよりもこの教会に入ったときの感動のほうが数倍も大きかったのです。教会の正面の壁にはキリストの受難の物語がフレスコ画で表されています。その壁の向こうにある祭壇には神聖な緊張感が漂っています。教会の中にいる数人の尼僧が小さな声のイタリア語で、この教会の由来を説明してくれたのですが残念ながら理解できませんでした。しかし、教会内はまさに聖域のような雰囲気で、何も喋らずただ感動していました。
08082009_07_マドンナデッラグラッツェ_08 08082009_07_マドンナデッラグラッツェ_03 08082009_07_マドンナデッラグラッツェ_04

この古い修道院教会のちょっと先にサクロ・モンテの山の頂上に向かうロープウェイがあります。ロープウェイは人数がある程度集まるまで動きません。実は、サンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会を見に行ったのは、ロープウェイ受付の親切な女性の「人数がそろうまであの教会を見てきたら、すごくいいよ」というアドバイスだったのです。ですから、非常に得をした気分でした。このロープウェイ乗り場は印フォーメーションも兼ねていて、サクロ・モンテのガイドや地図だけでなくヴァラッロ周辺のガイドまですべてそろっていますので、ここで資料を入手してください。ロープウェイの料金は往復で3ユーロです。ロープウェイからの景観も捨てがたいものがありました。
ヴァラッロ・セージアへはノヴァーラから1両編成のローカル鉄道(イタリア国鉄です)で行きます。ノヴァーラ発で終点がヴァラッロ・セージアですから寝ていても大丈夫です。でも、車窓から見える山々の景色も見逃せませんので寝ていてはつまりません。所要時間は1時間強です。但し、この路線は早朝(朝の7時半まで)の3本を除くと朝9時6分を初めとして1日に5本しかないので、列車の発車時刻にあわせてノヴァーラに着くように計画してください。ミラノとノヴァーラ間は本数が多いので如何ようにでもなります。料金はミラノからヴァラッロ・セージアまでノヴァーラ乗換で6.95ユーロです。
ヴァラッロ・セージアからノヴァーラへの戻りも本数が少ないので注意が必要です。特に、午後は4本しかなく、午後1時58分から夕方の5時22分までは列車がありません。
2010-10-16(Sat)

ヴァレーゼ(サクロ・モンテ)

ヴァレーゼはミラノの北55キロにある人口80000人のロンバルディア州ヴァレーゼ県の県庁所在地です。古くからミラノの支配下にあった街で、ポー川地帯への防御地点としていくつかの要塞がヴァレーゼ周辺に築かれました。18世紀からは、ヴァレーゼ湖と山々に囲まれた風光明媚なこの地はミラノの貴族たちの避暑地として更なる発展を遂げています。ヴァレーゼの市街からバスで30分くらいの小高い山の上に2003年に世界遺産に登録されたサクロ・モンテがあります。ロンバルディア州とピエモンテ州の9ヶ所に点在しているサクリ・モンティのひとつです。

この日は出足が遅く、ミラノからLe Nord線で1時間余りのヴァレーゼに着いたのは午後1時過ぎでした。食事を取るべく市街を散策すると、偶然、大きな庭園を持つ宮殿に行き当たりました。後で調べると、モデナの領主であったエステ家が18世紀中旬にこの地を訪ねた際、この地の素晴らしい景観に感銘し、当時ヴァレーゼの領主であったオーストリアの女帝マリア・テレジアにお願いして、この領地を譲り受けた時に築いたといわれるエステンセ宮殿だったのです。美しい宮殿の庭園をさまよっていると、庭園の中の見晴らしの良い丘の上にカフェがありそこで昼食をとりました。
25072009_02_ヴェレーゼの街_04_市民公園_03 25072009_02_ヴェレーゼの街_04_市民公園_02 25072009_02_ヴェレーゼの街_04_市民公園_04

余りの気持ち良さにゆっくりとしすぎたために、サクロ・モンテに着いたのは午後4時過ぎとなっていました。しかし、夏の日は長いのでそれでも十分です。サクロ・モンテは巡礼の地ですから山の上で、しかも、簡単にはたどり着けないようなところにあります。その中でヴァレーゼのサクロ・モンテは比較的に、たどり着きやすいところに位置しています。フニクラーレで丘の頂上に上がると、そこからの景色は最高です。北にはアルプスの山々、南にはヴァレーゼ湖とヴァレーゼの街並が一望の下にあります。丘の上から歩いて礼拝堂を一つ一つ訪ねながらなだらかな降り道を周りの景色を堪能できる約2キロのコースは誰もが満足できると思います。特に、夏の夕暮れ時の景色は至福の時間を与えてくれました。
25072009_03_サクロモンテ_03_景色_04 25072009_03_サクロモンテ_05_サンタマリアデルモンテ教会_01 25072009_03_サクロモンテ_06_07_チャペル09_01

この2キロの降りのコースが通常の観光ルートなのですが、巡礼目的の人たちは、フニクラーレに乗らずに、一番低いところにある1番礼拝堂から歩いて、全部で14ある各礼拝堂を訪ねながら山道を昇って行きます。山の一番上にサンタ・マリア・デッラ・グラッツェ教会があり、そこが巡礼の終点なのです。ここは聖母マリアのサクロ・モンテなのでロザリオを持って一つ一つの礼拝堂に祈り(ロザリオの祈り)をささげながら山を昇って行くお年寄りの巡礼者(車で山頂まで来る若い人や家族連れは、ほとんどがレジャー目的か食事です)も何人か見かけました。
25072009_03_サクロモンテ_05_サンタマリアデルモンテ教会_04 25072009_03_サクロモンテ_06_01_チャペル14_01 25072009_03_サクロモンテ_06_16_チャペル04_01

ヴァレーゼのサクロ・モンテは行きやすいこともあり巡礼者よりも観光客が多く、それもあって各礼拝堂の管理が、他のサクロ・モンテに比べてしっかりしています。礼拝堂の中のテラコッタの人形もフレスコ画も綺麗に維持されているのですが、各礼拝堂の窓にはしっかりと金網が貼られていて、しかも暗い礼拝堂の中を写真撮影するのは難しいのです。観光客が多いので仕方がありません。
25072009_03_サクロモンテ_06_05_ポルタ 25072009_03_サクロモンテ_06_17_チャペル03_02 25072009_03_サクロモンテ_06_03_チャペル12_03

ヴァレーゼへは、地下鉄M2のカドルナ駅から25~30分間隔のLe Nord線が便利です。所要時間は1時間強で料金は4.2ユーロです。イタリア国鉄もポルタ・ガリバルディから普通列車が1時間間隔で出ています。所要時間は55分で料金は4.6ユーロとなっています。他にLinea Sがミラノの地下鉄駅からヴァレーゼまで30分間隔であり、こちらは同じ料金で所要時間が1時間20分です。Le Nord線と国鉄ではヴァレーゼの駅が違いますが、それほど離れてはいませんのでどちらに乗っても余り変わりません。どちらの駅もヴァレーゼ市街にありますので、市街観光なら、駅から歩いて周れます。
25072009_02_ヴェレーゼの街_03_サンヴィットーレ教会_01 25072009_02_ヴェレーゼの街_05_モッタ広場 25072009_02_ヴェレーゼの街_02

サクロ・モンテへは、駅から市街の繁華街方向(Via Manzoni)に少し歩いたところにある停留所からバスに乗ります。市街地内のバスであるLinea C(料金は1.05ユーロで75分有効)に乗り30分弱でサクロ・モンテの一番上まで昇るフニクラーレ駅に到着します。バスのチケットは市街のタバッキかキオスクで購入できます。必ず、帰りの分とあわせて2枚買ってください。そこから、片道1ユーロのフニクラーレに乗って最高地点に行き、歩いて各礼拝堂を巡ってフニクラーレ駅付近まで降りてきます。約2キロの降りの山道ですが、道路は広く整備されていますのでそれほど疲れません。歩いて山を降り、サクロ・モンテの最後の門を過ぎて少し歩いたところにある広場に帰りのバス停がありますので、そこから来たときと同じ路線のヴァレーゼ行きバスに乗ります。カフェでも飲みながら広場でのんびりとバスを待っていれば良いとのです。バスはイタリア国鉄のヴァレーゼ駅まで行きますのでそこで降りてください。Le Nord線の駅もそこから歩いて直ぐ傍です。ミラノ行きのLe Nord線は25~30分間隔ですから列車の時間を気にする必要はありません。
義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
プロフィール

matsuohj (パパロンチーノ)

Author:matsuohj (パパロンチーノ)
2008年10月20日から2010年8月23日までの1年10カ月ミラノに滞在。その期間、北イタリアを中心に115ヶ所の街を訪ねました。それも、ほとんどが公共交通機関を利用したものです。この経験で得た情報を一人でも多くのイタリア好きの人に伝えるためのブログです。

カレンダー
09 | 2010/10 | 11
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
検索フォーム
カテゴリー名や都市名を記入して、読みたいブログを検索して下さい。
全記事表示リンク
イタリア赴任中に訪ねた115ヶ所の街や村のブログもリストされています。

全ての記事を表示する

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
ブログの訪問者数です。
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
海外情報
666位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ヨーロッパ
186位
アクセスランキングを見る>>
にほんブログ村ランキング
クリックしてください
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
ブログランキング

FC2Blog Ranking

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
QRコード
QR