2010-10-16(Sat)
オローパ(サクロ・モンテ)
3ヶ所目のサクロ・モンテとして、ピエモンテ州ビエッラ県にあるオローパを選びました。標高1180メートルの山の上にあるこの聖地は、サクロ・モンテの中で一番行きたかったところです。遠い昔(記録では13世紀)からの巡礼地であるオローパはサクロ・モンテよりも黒いマドンナ(黒いマリア像)が有名なのです。この黒いマドンナには4世紀に遡る古い言い伝えがあります。現在でもこの黒いマドンナに対する信仰は強く巡礼者が絶えることはないそうです。従って、ここには常時200人以上が滞在できる宿泊設備があります。
ビエッラの駅からバスに乗って標高1180メートルの地点で降りると、目の前に広がる巨大な聖域のコンプレックスにびっくりしました。何で、こんな山の頂上にこんな巨大な設備を造ったのだろうと感じるのは、私だけではないと思います。周りの高い山々を背景にした長方形に取り囲まれた敷地内には新旧2つの聖堂と付属設備及び巡礼者のための宿泊設備が建てられています。ちょうど、バスを降りたところからの眺めは絵葉書の写真のようで、それもヴェルサイユ宮殿か京都御所を見ているようです。1年中、巡礼者と観光客が訪れるこの聖域は、その全員を迎い入れる準備が出来ています。入口付近には巨大な駐車場とカフェやレストラン、土産物屋に宗教関係のお店が揃っています。

土産物屋を覗きながら聖域内に足を踏み入れました。やはり、黒いマドンナを拝している旧聖堂からです。旧聖堂は13世紀のバシリカを16世紀の終わりに建て直したものです。この神聖なる聖堂内に足を踏み入れるとたくさんの巡礼者が黒いマドンナに深い祈りを捧げています。でも、その横でたくさんの観光客が黒いマドンナの写真を撮っているのです。同じイタリア人なのに対照的なこの光景はなんとも奇妙です。そんな人達を掻き分けながら近くまで行き、黒いマドンナの顔を見ると、一瞬時間が止まったような気がしました。そのお顔は、まさしく観音様のお顔なのです。後で調べたところ、美しい顔で有名な広隆寺の弥勒菩薩“半跏思惟像”にそっくりだったのです。宗教とは不思議なものです。地球の反対側にあっても、宗教の違いがあっても、人間の信じる神のお顔には共通するものがあるのです。キリスト教徒ではない私もつい十字を切ってしまいました。

旧聖堂はこの巨大なコンプレックスの中ほどにありますが、コンプレックスの一番奥に1885年に建てられた新聖堂があります。この中の地下礼拝堂にも黒いマリア像が安置されていて、ここでもたくさんの巡礼者が祈りを捧げていました。

新聖堂の先にはロープウェイの駅があり、ここからカミーノ山の標高1900メートルの地点まで行くことが出来ます。更に、その先には2400メートルまでのロープウェイもあるそうです。冬にはスキー客で賑わうところです。また、ここには自然を感じながら美しい山間を歩くトレッキングコースもあります。このビエッラ周辺には、ここと同じような巡礼地がいくつかあり、その巡礼地を巡る5キロ、10キロコースがあるようです。一番短いコースは20分で谷を挟んだ並行した山道を歩くコースです。この自然豊かな山道を歩きながら谷の先に見えるオローパの聖域を眺めるととても素晴らしいのです。

これではサクロ・モンテを忘れてしまいそうです。この長方形の巨大なコンプレックスの直ぐ隣にある起伏の多い山中に聖母マリアの物語に沿って造営されたサクロ・モンテがあります。忘れてしまいそうな理由は、黒いマドンナの巡礼者はたくさんいるのですが、世界遺産であるサクロ・モンテの巡礼者がほとんどいなかったことにもあります。黒いマドンナは、いつの頃からかマリア像(“マグダラのマリア”との説もある)であると言われていますが、本来は女神を拝した土着信仰に起源があると言われています。この土着信仰とマリア様の合体は今でも根強くこの地に残っていて、いくら世界遺産でも勝てないのです。そのような環境にあるせいか、巡礼者のまばらな礼拝堂の中のテラコッタとフレスコ画は、残念ながら余り保存状態が良いとは言えませんでした。

今回のサクロ・モンテ訪問は、黒いマドンナの存在感に圧倒されて、影が薄くなってしまいました。それでも、黒いマドンナは、こんな山奥まで見に来た価値が十分にありましたので、今回のオローパ訪問には十分満足しています。標高1180メートルの聖地オローパは、ビエッラ駅から13キロの地点にあります。駅前から聖地オローパ行き(聖域の先にあるロープウェイの駅が終点です)のバス(ATAPバス、Linea Urbana 2)が出ています。所要時間は40分で料金は片道0.9ユーロだったと思います。バスのチケットはビエッラ駅内にあるバールで往復を買ってください。バスは、平日は1時間に1本、日曜日祝日でも2時間に1本あります。時刻表はウェブでも調べられますが、停留所でも必ず帰りの時刻表を確認してください。オローパの聖域には停留所が3つあり、歩ける距離にありますので、行きも帰りも、どの停留所でも利用できます。
ビエッラ(駅名はBiella San Paoloです)まではノヴァーラから2両編成の綺麗な列車があります。始発と終点ですので気楽に乗ってください。所要時間は40分です。朝の10,11時台は列車がないのですが、そのほかの時間帯は、往復とも1時間に1本あります。この列車の時間を調べて、ミラノとノヴァーラ間の列車を決めてください。
ビエッラの駅からバスに乗って標高1180メートルの地点で降りると、目の前に広がる巨大な聖域のコンプレックスにびっくりしました。何で、こんな山の頂上にこんな巨大な設備を造ったのだろうと感じるのは、私だけではないと思います。周りの高い山々を背景にした長方形に取り囲まれた敷地内には新旧2つの聖堂と付属設備及び巡礼者のための宿泊設備が建てられています。ちょうど、バスを降りたところからの眺めは絵葉書の写真のようで、それもヴェルサイユ宮殿か京都御所を見ているようです。1年中、巡礼者と観光客が訪れるこの聖域は、その全員を迎い入れる準備が出来ています。入口付近には巨大な駐車場とカフェやレストラン、土産物屋に宗教関係のお店が揃っています。



土産物屋を覗きながら聖域内に足を踏み入れました。やはり、黒いマドンナを拝している旧聖堂からです。旧聖堂は13世紀のバシリカを16世紀の終わりに建て直したものです。この神聖なる聖堂内に足を踏み入れるとたくさんの巡礼者が黒いマドンナに深い祈りを捧げています。でも、その横でたくさんの観光客が黒いマドンナの写真を撮っているのです。同じイタリア人なのに対照的なこの光景はなんとも奇妙です。そんな人達を掻き分けながら近くまで行き、黒いマドンナの顔を見ると、一瞬時間が止まったような気がしました。そのお顔は、まさしく観音様のお顔なのです。後で調べたところ、美しい顔で有名な広隆寺の弥勒菩薩“半跏思惟像”にそっくりだったのです。宗教とは不思議なものです。地球の反対側にあっても、宗教の違いがあっても、人間の信じる神のお顔には共通するものがあるのです。キリスト教徒ではない私もつい十字を切ってしまいました。



旧聖堂はこの巨大なコンプレックスの中ほどにありますが、コンプレックスの一番奥に1885年に建てられた新聖堂があります。この中の地下礼拝堂にも黒いマリア像が安置されていて、ここでもたくさんの巡礼者が祈りを捧げていました。



新聖堂の先にはロープウェイの駅があり、ここからカミーノ山の標高1900メートルの地点まで行くことが出来ます。更に、その先には2400メートルまでのロープウェイもあるそうです。冬にはスキー客で賑わうところです。また、ここには自然を感じながら美しい山間を歩くトレッキングコースもあります。このビエッラ周辺には、ここと同じような巡礼地がいくつかあり、その巡礼地を巡る5キロ、10キロコースがあるようです。一番短いコースは20分で谷を挟んだ並行した山道を歩くコースです。この自然豊かな山道を歩きながら谷の先に見えるオローパの聖域を眺めるととても素晴らしいのです。



これではサクロ・モンテを忘れてしまいそうです。この長方形の巨大なコンプレックスの直ぐ隣にある起伏の多い山中に聖母マリアの物語に沿って造営されたサクロ・モンテがあります。忘れてしまいそうな理由は、黒いマドンナの巡礼者はたくさんいるのですが、世界遺産であるサクロ・モンテの巡礼者がほとんどいなかったことにもあります。黒いマドンナは、いつの頃からかマリア像(“マグダラのマリア”との説もある)であると言われていますが、本来は女神を拝した土着信仰に起源があると言われています。この土着信仰とマリア様の合体は今でも根強くこの地に残っていて、いくら世界遺産でも勝てないのです。そのような環境にあるせいか、巡礼者のまばらな礼拝堂の中のテラコッタとフレスコ画は、残念ながら余り保存状態が良いとは言えませんでした。



今回のサクロ・モンテ訪問は、黒いマドンナの存在感に圧倒されて、影が薄くなってしまいました。それでも、黒いマドンナは、こんな山奥まで見に来た価値が十分にありましたので、今回のオローパ訪問には十分満足しています。標高1180メートルの聖地オローパは、ビエッラ駅から13キロの地点にあります。駅前から聖地オローパ行き(聖域の先にあるロープウェイの駅が終点です)のバス(ATAPバス、Linea Urbana 2)が出ています。所要時間は40分で料金は片道0.9ユーロだったと思います。バスのチケットはビエッラ駅内にあるバールで往復を買ってください。バスは、平日は1時間に1本、日曜日祝日でも2時間に1本あります。時刻表はウェブでも調べられますが、停留所でも必ず帰りの時刻表を確認してください。オローパの聖域には停留所が3つあり、歩ける距離にありますので、行きも帰りも、どの停留所でも利用できます。
ビエッラ(駅名はBiella San Paoloです)まではノヴァーラから2両編成の綺麗な列車があります。始発と終点ですので気楽に乗ってください。所要時間は40分です。朝の10,11時台は列車がないのですが、そのほかの時間帯は、往復とも1時間に1本あります。この列車の時間を調べて、ミラノとノヴァーラ間の列車を決めてください。
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