fc2ブログ
2010-10-31(Sun)

ラヴェンナ

1996年に“ラヴェンナの初期キリスト教建築物群”として世界遺産に登録されたラヴェンナに行ってきました。アドリア海に面した沼地にあったこの街は軍港として、又は商業都市としてローマ時代から栄えていた街です。5世紀初めには西ローマ帝国最後の都となり、その後、東ゴート王国の都を経て、紀元540年に東ローマ帝国のイタリア半島の拠点として栄えました。しかし、その後、東ローマ帝国の衰退とともにラヴェンナの街も衰退して、単なる小さな街になってしまいました。但し、そのおかげで戦乱によって破壊されることもなく現在にその面影を残しているのです。

ラヴェンナは、なんと言っても、現存する東ローマ帝国時代に建てられたビサンチン様式の痕跡を残す初期キリスト教建築とモザイク装飾が有名です。特に、サン・ヴィターレ聖堂のモザイクは、すべてのイタリア観光ガイドとイタリア芸術の本に必ず載っていますので、これ以上の説明は無用だと思います。但し、何度も、写真では見ていたものの実際に見たときには足が震えるほどの感動が押し寄せました。これが5,6世紀の作品であることは、どこかに飛んでいってしまい、ただただ、飽きることなく見入ってしまいます。
26122009_02_ラヴェンナ_024_サンヴィタレ 26122009_02_ラヴェンナ_025_サンヴィタレ 26122009_02_ラヴェンナ_027_サンヴィタレ

サン・ヴィターレ聖堂はモザイクだけではなく、イタリアには少ないビサンチン様式の8角形の建築や、教会に付属している回廊にあるローマ時代の遺物も素晴らしいのですが、モザイクを見た瞬間に記憶をほとんど失ってしまいました。
30052010_02_ラヴェンナ_010 30052010_02_ラヴェンナ_006 26122009_02_ラヴェンナ_019_サンヴィタレ

サン・ヴィターレ聖堂の敷地内には、ガッラ・ブラチディアという、覚えるのも読むのも難しい名の霊廟があります。西ローマ帝国のテオドシウス皇帝の娘がガッラ・ブラチディアという名で、彼女が5世紀前半に建てた霊廟です。従って、彼女のお墓ではありません。この霊廟の内面のモザイクも有名で、ガイドブックや初期キリスト教の芸術の本には必ず出てきます。但し、廟の中は暗い上にフラッシュ撮影は禁止なので、目でじっくりと味わうしかありません。
30052010_02_ラヴェンナ_023 30052010_02_ラヴェンナ_024 26122009_02_ラヴェンナ_033_ガッラ・プラチディア

サン・ヴィターレ聖堂に入るときにラヴェンナのモザイク鑑賞の共通入場券(8ユーロ)を購入できます。入場券には、サン・ヴィターレ聖堂とガッラ・ブラチディアの霊廟の他に2ヶ所の入場券が付いています。一緒に貰った地図を頼りに次のモザイクへ移動です。ラヴェンナのドゥオモはもともと5世紀に建てられたのですが、現在は18世紀に建て直されたものです。そのドゥオモの洗礼堂は、5世紀の建物がそのまま残されていて、その洗礼堂の内部にも当時のモザイクを見ることが出来ます。最初に見たサン・ヴィターレ聖堂のモザイクの衝撃が大きすぎて、このあたりでは、少々、モザイクに麻痺してきました。
30052010_02_ラヴェンナ_037 30052010_02_ラヴェンナ_031 30052010_02_ラヴェンナ_030

最後のモザイクはサンタポリナーレ・ヌォーヴォ聖堂です。ここは東ゴート族の皇帝によって6世紀前半に建てられたのですが、東ローマ帝国がこの地に入ったときに、内面に描かれていた彼らの一族の絵を取り除いて、現在見ることが出来るモザイクに改装したそうです。ですから、この聖堂は長方形の建築でビザンチン様式ではありませんが、他のイタリアの教会の建築とも違います。東ゴート族はアリウス派だったとのことなので、彼ら独自の教会を持っていたのでしょう。
30052010_02_ラヴェンナ_046 30052010_02_ラヴェンナ_053 30052010_02_ラヴェンナ_054

神曲で有名なフィレンツェ出身のダンテはラヴェンナを安住の地として、1321年に亡くなり、ラヴェンナのサン・フランチェスコ教会に彼の霊廟があります。モザイクの影に隠れて、この霊廟を訪ねる人は少ないようです。ドゥオモからサンタポリナーレ・ヌォーヴォ聖堂に向かう途中、偶然にも団体観光客が写真を撮っていたので気がついたくらいです。
30052010_02_ラヴェンナ_040 30052010_02_ラヴェンナ_041 30052010_02_ラヴェンナ_043

ラヴェンナから5キロほど離れた港町のクラッセに、もう一つ、モザイクで有名なサンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂があります。しかし、4つのモザイクを見るとクラッセまで足を伸ばす気持ちにはなれませんでした。それにしても、サン・ヴィターレ聖堂のモザイクは感動的でした。実は、もう一度この感動を味わいたくて、半年後に、もう一度ここに来てしまいました。2度目にもかかわらず、また感動してしまいました。
26122009_02_ラヴェンナ_003_サンジョヴァンニ・エヴァンジェリスタ 26122009_02_ラヴェンナ_009_ポポロ広場 30052010_02_ラヴェンナ_002

ミラノ・ロゴレドからボローニャまでは、普通列車で2時間35分かかりますが、ミラノ中央駅からユーロスターでボローニャに行くと、わずか1時間5分で着いてしまいます。ボローニャからラヴェンナまでは2時間間隔で普通列車があります。所要時間は1時間20分で料金は6.2ユーロです。従って、日帰りでラヴェンナに行くのなら、ミラノからユーロスターでボローニャに行き、そこから普通列車でラヴェンナに行くことをお勧めします。ボローニャでの待ち時間も入れて3時間前後でラヴェンナに到着します。ラヴェンナ駅から市街地までは歩ける距離ですので、日帰りでもゆっくり観光できます。但し、ミラノからボローニャまでのユーロスターの料金は41ユーロですので、ちょっと高くつきます。
ラヴェンナからの戻りは、午後のボローニャ行きの普通列車は1時間間隔ですから、ボローニャからのユーロスターを決めて、それにあわせた列車に乗れば良いだけです。ボローニャからミラノへは1時間間隔に夜10時過ぎまでユーロスターがあります。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
プロフィール

matsuohj (パパロンチーノ)

Author:matsuohj (パパロンチーノ)
2008年10月20日から2010年8月23日までの1年10カ月ミラノに滞在。その期間、北イタリアを中心に115ヶ所の街を訪ねました。それも、ほとんどが公共交通機関を利用したものです。この経験で得た情報を一人でも多くのイタリア好きの人に伝えるためのブログです。

カレンダー
04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
検索フォーム
カテゴリー名や都市名を記入して、読みたいブログを検索して下さい。
全記事表示リンク
イタリア赴任中に訪ねた115ヶ所の街や村のブログもリストされています。

全ての記事を表示する

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
ブログの訪問者数です。
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
海外情報
666位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
ヨーロッパ
186位
アクセスランキングを見る>>
にほんブログ村ランキング
クリックしてください
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
ブログランキング

FC2Blog Ranking

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
QRコード
QR